/usr/local/bin/php-cgi-4.4.1 新宿ゴールデン街
 3.ママのページ > 第1回:十月
 仔猫が迷い込んできてそのまま居着いてしまう街、ミッキーマウスも住んでいる、あらあら不思議、摩訶不思議。
それがゴールデン街です。今宵の迷子は誰でしょう?  十月ママ  

■酒

青春を過ごししパブのミラーには白髪のわれとマリリンモンロー
ああ酒よ喜怒哀楽の句読点われをここまで育てし水よ
酔いどれて夜の新宿闊歩するわが襟つかむ君は騎手なり
外国人世間話を日本語で夕闇迫る飲み屋路地裏
沖縄や函館訛り飲みや街行こうか今日もことばかさねに
新宿の青息吐息の酒場には襷掛けしてわれ客を待つ
黒猫ちゃん一番乗りは君だからなってよ今宵客呼ぶ猫に
また今日も酒場のあるじはサボタージュ当店いまだ客はゼロなり
午後九時に郵便バイクがブルルンとゴールデン街を民営化ゆく
プロ野球映すテレビの画像ゆれ酒場の主も酔いどれている

■ホスピスにて

ホスピスは現の闇の眠りより夢の明野にかかる梯(はし)かな
漆黒の闇を見据えてひたぶるに朝の光を待つ人がいる
仕事終え偽善のエプロン身につけておのれ蔑む夜の病棟(ホスピス)
たった今わが手に熱をおしつけた病人(とも)を連れゆく十六夜の月
頭を垂れて旅逝く患者(ひと)の手を握り酸素の泡の音のみを聞く


                    十月ママ詠草   平成十六年十月集約


人として生まれ来たのに早々と人生の幕をおろすことを自ら宥めつつ静かに黄泉の国への引っ越し準備をしている人びと
患者さんの側に自分は今いるのだ・・と思いながらその方達の足を摩ってました。何の血縁も無いのにその人の昔を聞いて
その人の愛した人達の事を聞いてそしてやたらと熱い手を握り大切な最期の時間をわたしが共有させて貰ってるのです。
熱にうなされながら「ありがとう」を私にくださるのです。
沢山の笑顔とお礼、こちらこそ本当にありがとうでした。
日々自分の命日までほんの少しの酒を友として頑張って不思議の国でまた皆に会いたいです。土産話を沢山持って!



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